歯科矯正中は歯磨きしづらいイメージがあり、歯科矯正を考える患者さまからも「歯科矯正中に上手く歯磨きできるか自信がない」とご相談いただくこともあります。歯科矯正中は、歯の表面の矯正装置であるブラケットやワイヤーが妨げとなり、歯ブラシの毛先が行き届かないことも多くあり、無理もありません。そこで難波矯正歯科では、ワイヤー矯正中(舌側矯正・表側矯正・ハーフリンガル)の患者さんを中心に、歯磨きについてのアンケートを実施いたしました。歯科矯正中の歯磨きに不安を覚える人、これから歯科矯正を始めたいと考える人などにご参考になればと思います。
「歯科矯正中は虫歯や歯周病リスクが高くなり、歯磨きなどのセルフケアが重要になっていきます。ワイヤー矯正の場合は、歯の表面にブラケット装置を装着する必要があり、歯とブラケットの隙間や、ワイヤーなどに汚れが溜まりやすく、虫歯リスクも高まります。
実際、歯科矯正中に虫歯になってしまった場合、初期虫歯であれば経過観察で済むことが大半でありますが、進行している虫歯であった場合は、歯科矯正中であっても、虫歯治療が必要になります。
また、ブラケット装置やワイヤーが虫歯治療の妨げになってしまうケースもあり、その場合にはブラケット装置やワイヤーを一時的に取り外し、虫歯治療を行う必要があり、その分歯科矯正の治療が長引くリスクも伴います。
そのため、歯科矯正中の歯磨きはとても重要なものとなり、歯磨きのしづらさをカバーする対策が鍵となります。
そこで難波矯正歯科では、ワイヤー矯正中の患者さんを中心に55人の患者さんに、歯磨きに関するアンケートを実施しました。
※実施期間:2022年2月15日〜2月19日
アンケートにご協力いただいた55人の患者さんのうち、「矯正装置を付けてから歯磨きの回数が増えた」と回答したのは24人でした。当院でも矯正治療中の歯磨き指導などを行っておりますが、意識して磨くようになっていただいた人もなかにはいらっしゃるのではないかと、大変うれしい結果となりました。また、「矯正装置を付けてからも歯磨きの回数は変わらない」と回答してくださった人も29人いらっしゃり、常日頃、歯磨きに対する意識の高さを実感する数値となりました。
一方で、「はじめは頑張って歯磨きに取り組んでいたが、徐々に面倒くさくなった」と答えた人や、「マウスピース矯正」だったことを理由に「その他」を選択した患者さんが2人いました。
2人が「その他」を選択した理由の背景にはやはり、矯正装置に対する“歯磨きのしづらさ”や“管理”に問題があったのではないかと推測します。
まず、ブラケット装置がどうしても歯磨き中は障害物となってしまうため、歯磨きの毛先が隅々まで行き届くことが難しく、歯ブラシの持ち方や角度を変えるなど工夫をして歯磨きをする必要もでてくるため、はじめは頑張って歯磨きに取り組んでいても、徐々に面倒くさくなってしまうケースもあるのではないかと思います。
また、マウスピース矯正の場合は、着脱管理がとても重要です。マウスピースを自身で着脱できることが最大のメリットではありますが、食事の際にはマウスピースを外し、食後に歯磨きをおこなってからマウスピースを装着する必要があるため、歯磨きすることに対しての意識が変化してしまうことも少なくありません。
「矯正装置を付けてから歯磨きの回数が減った」と回答したのが0人だったことにも注目しましょう。やはり歯科矯正を行う患者さんの歯磨きに対する意識の高さ、意気込みが感じられる数字なのではないでしょうか。
矯正装置を付けている状態で歯を磨くときに、矯正専用ブラシでも知られるタフトブラシや歯間ブラシを活用すると、汚れをさらに取り除きやすくなります。「これら清掃補助器具を使う」と回答したのは43人、「時々・たまに」と回答したのは2人、「使わない」と回答したのは10人となりました。
とある調査によると、歯ブラシで汚れを除去できるのは全体の60%ほどに過ぎず、40%ほどは磨き残しがある状態です。しかし、通常の歯磨きにプラスして、タフトブラシや歯間ブラシなどの清掃補助器具を活用して、さらに汚れを取り除くことで、全体の90%ほどの汚れを除去できると言われ、タフトブラシや歯間ブラシによる清掃の効果が伺えます。
タフトブラシや歯間ブラシを「毎回必ず使用している」と回答したのは8人です。次いで「1日2~3回」と回答したのは8人、「1日1回」と回答したのは24人でした。毎回ないしは1日2~3回と回答した人数と比べると、1日1回と回答した人が圧倒的に多く3倍もの差があります。
忙しい現代社会において、毎食後必ず歯磨きをすること自体がままならず、疎かにしてしまう人も居る中で、歯科矯正中の患者さんは1日に1回はタフトブラシや歯間ブラシを使用してケアを行っていることが伺えます。
また、「その他」と回答した人も4人おり、週1回、週3回、週1~2回、2日に1回とそれぞれ生活サイクルに合せて、無理なく補助清掃器具を取り入れている様子が伺えます。
歯科矯正中は以下の点に注意して、セルフケアに取り組みましょう。
歯ブラシの毛先が矯正装置にひっかかり、上手く歯磨きができない恐れもあります。そんなときは、歯ブラシの毛先は柔らかめ、ヘッドは小さめなものを選びましょう。
歯ブラシの持ち方を替えたり、横磨き縦磨きなど、工夫したりしながら歯磨きしましょう。
どこを磨いているか鏡を見ながら行うことが、歯磨きを上手く行うポイントとなります。
歯磨き粉を一度にたくさん使用すると、必要以上に泡立ってしまうため、汚れが落ちているか確認できなかったり、とりあえず歯磨き粉が泡立つことで洗ったつもりになり磨き残しが多くなったりする恐れもあります。これらの理由からも、歯磨き粉は少なめにしましょう。
矯正装置と歯の間や、歯とワイヤーの間に汚れが溜まりやすいため、タフトブラシや歯間ブラシを普段の歯磨きと併用しましょう。
今回は歯科矯正中の患者さんを対象に、歯磨きに関するアンケートをもとに、矯正中の歯磨きの大切さや、矯正中の歯磨きへの対策をご案内してきました。歯科矯正中は虫歯リスクなども高まり、虫歯の進行具合によっては、歯科矯正の治療期間も長引いてしまう恐れもあるため、日々の歯磨きをしっかりと取り組むことが、歯科矯正治療を成功させる鍵となるでしょう。
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