投稿日：2025.6.6
矯正ですき間を閉じると、矯正でデコボコを並べるのはどっちが難しい？
みなさん、こんにちは。
東京都の新宿駅にある歯医者、新宿歯科・矯正歯科です。
「歯並びが気になる…でも私の歯はすきっ歯だから簡単？」
「前歯がデコボコしているけれど、これって治しにくいの？」
歯科矯正を検討する方からよく寄せられるのが、「矯正で治しやすい歯並び・治しにくい歯並び」についての疑問です。
「デコボコを並べる矯正」や「すき間を閉じる矯正」は矯正治療を希望している方も多く、
矯正で治しやすいか気になる方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、矯正治療でよく見られるこの2つの症例に注目し、
それぞれの治療の難易度やポイントについて、わかりやすく比較・解説していきます。
目次
矯正で「すき間を閉じる」とは？
「すき間を閉じる矯正」とは、歯と歯の間に隙間が空いている状態（空隙歯列／すきっ歯）を整える治療です。
歯と歯の間にすき間があると、食べ物は挟まりやすいだけでなく、審美性も気になる方が多いです。
すきっ歯の原因
・歯が小さい／顎が大きい
・歯の本数が少ない（先天性欠如）
・舌で前歯を押す癖（舌癖）
・永久歯が生えてこない
・加齢や歯周病による歯列の変化
これらの要因により、歯が理想的な歯列に整っておらず、歯と歯の間にすき間ができてしまうことがあります。
矯正で「デコボコの歯並びを並べる」とは？
「デコボコの歯並びを並べる」とは、歯が前後や左右にずれて重なり合ったり、
ねじれて並んでいたりする状態（叢生：そうせい）を整える治療です。
日本人は顎が小さい傾向にあるため、歯列に歯が並びにくい場合があります。
そうすると、重なりあった歯と歯の間に汚れが残りやすく、虫歯や口臭のリスクも高くなります。
デコボコの歯並びの主な原因
・歯の大きさに対して顎が小さい
・永久歯の生え変わりのバランス不良
・早期に乳歯を失ってしまった
・指しゃぶりや頬杖などの癖
デコボコの歯並びの矯正は、歯が重なっている部分にスペースをつくる作業から始まるため、
時間も計画も重要になります。
また、大幅に歯を動かす必要があるケースも多くなります。
すき間 がある歯並びとデコボコの歯並びのどちらが矯正で難しいの？
すき間 がある歯並びとデコボコの歯並びのどちらが難しいかは症状によって難易度が変わり、ケースバイケースです。
ただし、矯正前の歯並びの状態にもよりますが、治療計画の複雑さ・スペースの調整・後戻りリスクなどから、
一般的にデコボコの歯並びを並べる矯正の方が難易度は高い傾向にあります。
比較① 治療の計画性
すきっ歯の矯正
歯列全体への影響が少なく、比較的シンプルな治療計画のことが多い。
すでにスペースがあるため、歯を動かしやすい傾向がある。
前歯を中央に寄せるなどの単純な移動で済むケースが多い。
デコボコの歯並びの矯正
重なっている歯を並べるためにスペースの確保が必要。
IPR(歯と歯の間をやすりで削る処置)、抜歯や拡大装置を使うケースもあり、治療設計が複雑なことが多い。
歯の位置だけでなく、噛み合わせのバランスも崩れていることが多いため、
噛み合わせ全体を見直す必要があるケースが多い。
比較② 矯正期間
すき間を閉じる矯正
前歯などの気になる一部分だけのすき間を閉じる場合には、部分的な矯正で良い場合があります。
その場合、半年～1年半程度で治療できるケースもあります。
デコボコの歯並びを整える矯正
全体的に歯列を整える必要があるため、基本的に全体矯正が適用になります。
そのため、1年半～3年程度の治療期間になることが多いでしょう。
※ただし、どちらも骨格や歯の状態、年齢、使用する装置によって期間は異なります。
比較③ 後戻りのリスク
症状の程度にもよりますが、矯正治療後に「後戻り」してしまうリスクにも差があります。
すき間タイプ
舌癖や口呼吸が残っていると、またすき間が空く可能性が高いです。
歯並びが悪くなった習慣がある場合には早期に改善するようにしましょう。
舌癖や口呼吸は口周りの筋肉バランスが影響している場合もあるため、
MFT【口腔筋機能療法】などのトレーニングで改善が見込めます。
デコボコの歯並びのタイプ
大幅に歯を動かすケースでは、元の位置に戻ろうとする後戻りの働きが強くなる傾向があります。
歯並びが整ったばかりの時期は、まだ整った歯並びが安定していないため、
保定期間に保定装置をつけることで整った歯並びが安定します。
どの歯並びでも大切ですが、特に保定装置を決められた時間装着することが重要です。
すき間とデコボコ、両方ある場合は？
「すきっ歯＋デコボコ」が混在している歯並びも多く見られます。
たとえば、前歯にすき間があるけれど、奥歯がガタガタしているなどがあります。
このようなケースでは、矯正の難易度が上がるため、より綿密な診断と計画が必要になります。
矯正の難しさは「見た目」だけではない
矯正治療の難しさを“見た目の印象”だけで判断してしまうことは少なくありません。
しかし、実際の治療の難易度は、表面に見えている歯の状態だけでは決まりません。
矯正の「隠れた難しさ」
矯正治療では、歯の表面や並び方だけでなく、次のような歯の内部や成長状態が治療計画に大きく影響します。
歯の根の角度・長さ
歯を動かすときには、歯の「根（歯根）」がどのような角度・形で骨の中に埋まっているかが重要です。
たとえば、歯の根が曲がっていたり、長すぎたりすると、思うように動かせなかったり、
リスクを避けるために慎重な治療が必要になります。
歯槽骨（しそうこつ）の厚み・質
歯が埋まっている土台となる「歯槽骨」の厚みや硬さは、人によって大きく異なります。
骨が薄い場合や密度が低い場合は、歯の移動に時間がかかったり、歯ぐきが下がったりするリスクもあります。
逆に、骨が硬すぎると、計画通りに歯が動きにくくなることもあるのです。
噛み合わせや舌癖、口呼吸などの影響
見た目は「少しすき間があるだけ」でも、舌で前歯を押す癖（舌癖）や、
無意識の口呼吸などがあると、矯正後の後戻りのリスクが非常に高くなります。
この場合、矯正治療をスムーズに進めるため、歯並びが悪くなる悪習慣を改善した上で矯正治療をすることが大切です。
顎の成長状態・骨格バランス
お子さまの場合、顎の成長がまだ進行中です。
成長の方向やスピードによって、治療方針も変わるため、「いつ治療を始めるか」も成功に大きく関わります。
また、大人の場合でも、上顎と下顎の骨格のバランスが崩れていると、
歯の位置を整えるだけでは噛み合わせが合わないこともあり、
外科的矯正（顎の手術）が必要になることもあります。
的確な診断のためには「精密検査」が必要
歯科矯正で行う代表的な検査
セファロ分析（頭部X線規格写真）
骨格のバランスや歯の傾き、成長予測を数値化できる
CT（3D画像診断）
歯の根の位置・歯槽骨の厚みなど、立体的な構造を確認可能
レントゲン検査
歯の内部を平面的に確認ができる
これらのデータをもとに、矯正専門医が総合的に診断し、
患者様に合った治療方針を立てることが、矯正治療の成功のカギになります。
矯正ですき間を閉じると、矯正でデコボコを並べるのはどっちが難しい？まとめ
「見た目が軽そうだから簡単に治る」「見た目がひどいから難しい」といった印象では、
矯正治療の難しさは判断できません。
歯や骨の内部構造、顎の成長、生活習慣など、多くの要素を診断して治療方針が決定します。
だからこそ、矯正治療を考えるなら、まずは矯正専門の歯科医院で精密な検査・診断を受けることがとても大切です。
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